コラム

配偶者の不貞行為(不倫)と誓約書

不倫・誓約書【茨城県の離婚相談・公正証書作成】

配偶者の不貞行為(不倫)と誓約書

結婚した夫婦には、互いに貞操義務を守る責任が課せられています。貞操義務とは、配偶者以外の異性と性的関係を持たない義務のことを指します。この義務を破った場合、民法上では「不貞行為」と認められ、不法行為として損害賠償の対象になります。不貞行為は、一般的な言葉では「不倫」と呼ばれ、多くの夫婦間トラブルの原因にもなっています。

 

配偶者が不貞行為を行った場合、その行為はもう一方の配偶者の権利を著しく侵害するものとされます。不倫によって受けた精神的な苦痛に対し、不貞行為をした側には慰謝料の支払義務が発生します。慰謝料とは、被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われる金銭的な補償のことです。

この慰謝料の支払義務は、夫婦が離婚する場合はもちろん、離婚しない場合であっても発生します。不貞行為そのものが不法行為とみなされるため、婚姻関係を継続する・しないに関わらず責任を問われることになるのです。

 

不貞行為が発覚した場合、多くは夫婦間で話し合い、「もう二度と不倫をしない」という約束を取り交わし、その場を収めることになります。しかし、その約束を「口約束」だけで終わらせてしまうケースが非常に多く見受けられます。

口約束の場合、時間の経過とともに約束の重みが薄れてしまいがちです。一度は反省していた配偶者も、数ヶ月、数年と経つうちに不倫をして相手を傷つけたことへの自覚や反省を忘れてしまい、再び不貞行為に及んでしまうリスクがあります
また、いざというときに口約束では証拠としての力が弱く、再発時に責任を問うことが難しくなる場合もあります。

 

信頼回復のために「誓約書」を作成する

不倫をされてしまった側からすれば、相手を再び信じるのは簡単なことではありません。
一度失われた信頼を取り戻すには、時間だけでなく、相手の誠意ある態度や行動が必要になります。

このような場合、「誓約書」を作成しておくことが非常に有効です。
誓約書は、不倫をした側が「不貞行為を行ったこと」を認め、「今後、二度と同じことを繰り返さないこと」を約束する文書です。

誓約書を取り交わすことによって、不倫をされた側は一定の安心感を得ることができ、夫婦関係を再構築していくための土台づくりになります。
一方で、不倫をした側にとっても、誓約書を作成することは「反省の気持ちを形に表す」ことになり、自分自身への戒めとなります。

 

誓約書を作成することのメリット

誓約書には、単なる口約束とは異なる複数のメリットがあります。

・記録として残る
口約束と違い、誓約書は書面として残るため、不倫の事実や再発防止の誓いが明確になります。

・再発防止効果
文書にすることで、当事者の責任感や自覚が強まり、不倫の再発を防ぐ心理的な効果が期待できます。

・法的証拠になる場合がある
将来的に再び問題が起きた場合、誓約書の存在が裁判などで有利な証拠として使える可能性があります(ただし、慰謝料の金額や条件などをしっかり明記しておく必要があります)。

・精神的負担の軽減
不倫をされた側にとって、ただの謝罪だけでは心の整理がつかないこともあります。誓約書を取り交わすことで、一定の区切りをつけることができ、精神的な落ち着きを得やすくなります。

 

誓約書作成時に押さえておきたいポイント

誓約書を作成する際には、以下の点を意識することが重要です。

  • 不貞行為があった事実を具体的に記載する(いつ、どこで、誰と)
  • 今後、同様の不貞行為を一切行わないことを明記する
  • 万一再発した場合には慰謝料請求や離婚などの措置を取ることを記載する
  • 作成日付を入れる
  • 双方の署名・押印を必ず行う

 

二人の未来のために、きちんと「形」にする

一度失われた信頼を回復するのは簡単なことではありません。
しかし、誓約書を作成してお互いの気持ちを整理し、きちんと形に残すことは、これからの夫婦関係を築き直す大切なステップとなります。

誓約書は、意思を確かめ合い、形にするための大切なツールです。後悔しないためにも、口約束で済ませずに、誓約書を残しておきましょう。

 

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